京浜急行線の追浜(おっぱま)という街に、日産自動車の広大な研究所がありました(まだある?)。以前、二年間に渡って定期的にココに通っていたことがあります。その後の『ゴーン旋風!』でプロジェクト自体がどうにかなってしまったようなので、もうそろそろ守秘義務も時効だと思うのですが(たぶん)、次世代カーナビのインターフェイスデザインを依頼されたのです。...なんでうちにそんな依頼が? ことの発端はこんな感じでした。友人に、品川にある日産スポーツクラブの会員がおりました。彼に連れられゲストとしてここに遊びに行った折、ある年配の方と仲良くなりました。他愛もないお喋りを続けるうち、「ところで。カーナビは使ってますか?」と質問されたのです。Noと答えると、「なぜですか?」と続けて尋ねられました。だってカーナビって、技術屋の発想で作られてるんですもの。ボクの言葉に「ほぉ?」と首をかしげたこのかたは、実は中央研究所のK博士でした。ぜひ一度研究所で話をしませんか?さっそく翌週、研究所に出向き、「技術屋の発想」あるいは「デザイナーの視点の欠如」について、所員の方々と雑談しました。和気あいあいで話すうち、「ハードを開発する時には最初からデザイナーを一人入れておけば、例えば...」とあるアイデアを口にしたところ、その場にいた方全員が凍り付いてしまいました。その時は知る由もなかったのですが、ボクの軽口はその時まさに研究所で開発中の新技術を偶然言い当ててしまったのだとか。それから数日。K博士から連絡があり、二年間の顧問契約を結んで欲しいと乞われたのでした。